遊牧民族は、冬の準備をするために、夏の終わりから秋にかけて、狩を行います。
大昔、狩の季節の前に、彼らは自らの技術を磨くため、弓や相撲、競馬の競技会を行っていました。それがナーダム祭りのはじまりであるといわれています。
移動して生活する遊牧民は、国を挙げての競技会を利用して、長らく会っていない友達と再会を果たしたりしているうちに、どんどんお祝いとしての色が強くなりました。
モンゴルが満州の支配から独立した1921年、モンゴル人民革命を祝うため、ナーダム祭を行うようになりました。
2009年には、第88回のナーダムが、7月11~13日に行われるようになりました。
モンゴル語では、ナーダム祭を「エリーン・グラワン・ナーダム」つまり「男性の3つの競争」といいます。この3つの競技とは、モンゴル相撲、競馬、弓の3つを指しています。そして、それぞれで、強さと速さと目のよさを競うのです。
【モンゴル相撲】
私はモンゴル相撲が大好きです。ナーダム祭で今年は誰が優勝するのだろう?と思うとドキドキしてしまいます。モンゴル人は誰でもモンゴル相撲が大好きですし、男女ともにモンゴル相撲は好きですが、特に男性の方がモンゴル相撲が好きな人は多いです。
モンゴルの21県から、512人の力士が参加し、トーナメント方式で対戦します。8回戦(ナイミーン・ダワー)が準決勝、9回戦(ユスィーン・ダワー)が決勝です。
ナーダムで勝ち残ると、ツォルと呼ばれる称号が与えられます。ナーダム祭で、1回優勝を果たすと、「アルスラン」(獅子)、2度優勝すると「アヴァ ルガ」、5度目の優勝で、「ダルハン・アヴァルガ」と呼ばれるようになり、一度得た称号が落ちることはありません。称号が上の方に行くと、芸能人や、政治 家になる人も少なくありません。
力士の衣装も注目したいところです。長袖で胸の開いた上衣である「ゾドグ」、ショータグと呼ばれるショートパンツ、先がそりかえったモンゴルブーツ(モンゴルゴタル)、中央が塔のようにとがった帽子(ジャンジンマルガイ)を身に着けて戦います。
モンゴル人民革命ナーダム祭で、12回優勝した力士は、国会議員になりました。また、日本の大相撲の朝青龍のお兄さんは、モンゴル相撲のヒーローです。
モンゴルの男性はみんな相撲をやりますが、特に友達同士で夏の時期、郊外へ休みに行きながらモンゴル相撲をして楽しむことが多いです。
【競馬】
モンゴル相撲と並び、ナーダム祭のもうひとつ大切な楽しみが、競馬です。
競馬には、「アザラガ(種馬)」「イへ・ナス(6歳以上馬)」「ソヨロン(5歳馬)」「ヒャザーラン(4歳馬)」「シュドレン(3歳馬)」「ダーガ(2歳馬)」「ジョローモリ(側対走馬)」の各レースが行われます。
モンゴルの馬は背が低く、足が短いため、長距離を走るのに優れているといわれています。2歳馬の15キロからイヘ・ナスの30キロ超まで、長距離を数百頭が競走します。
各レース、上位5頭を、「アイラグ」と呼び、その馬をたたえる詩句を吟じ、馬乳酒をかけて祝福します。
また、レースの土ぼこりを浴びたり、勝った馬の汗を体につけると縁起がよいといわれています。
モンゴルの競馬は、騎手が6歳~12歳の少年少女たちです。「馬上で育つ」といわれるモンゴル人の面目躍如ともいえるが、馬の負担を軽くし、スピードを出させるためでもあります。
騎手はレースがスタートする前に励ますギーンゴーと呼ばれるメロディーを歌います。
ギーンゴーを聞くと、馬たちはレースのスタートが来たと身構えるのです。ギーンゴーのメロディーは、大草原に一番見合います。
驚くほど早く走る馬。途中で騎手が振り落とされたのか、騎手なしでゴールにかけこんでくる馬。どうしても進もうとしない馬に途方にくれて泣き出す子供もいて、さまざまなドラマが毎年生まれます。
【弓】
ナーダム祭のもうひとつの競技は弓です。
弓を射るまでの距離は、男性75メートル、女性65メートル、17歳以下は男性が年齢×4メートル、女性は年齢×3メートルで計算します。
弓の長さは120センチメートル~170センチメートルで、竹の芯で作った弓を、鹿の角をにかわで張り合わせて強度を増し、両端をしらかばで加工しています。
矢は長さ約1m、白樺やヤナギ科の落葉樹などで作られ、矢の後ろに鷲などの羽根がついています。矢尻には鹿の骨が使われており、的は牛や馬などの皮をなめしてつくったソルを積み上げて作ります。
形は円形で、高さ8cmぐらい。壁のように積み上げたものハナ(壁)・ソル、30個を2層24個、両脇に3ずつを積み上げたものをハサー・ソルといいます。
競技は個人戦と団体戦があり、個人戦は成人男性がハナ・ソル20矢、ハサー・ソル20矢の全部で40矢、女性はハナ・ソル20矢、ハサー・ソル16矢の全部で36矢、17歳以下は男女ともハナ・ソル20矢を射て命中した数を競います。
的の後ろと手前3mに線があり、弓射る人の矢が的にあたった場合「オーハイ!」と声を上げて知らせます。観客も「的中!」「惜しい!」などと声をかけて楽しむのです。 |